もう泣いてもいいよね
香澄が3時頃戻ってきた。

「皆美~、何か思いついた~?」

「ううん~」

私はぶんぶんと首を振った。

どうも、この3人でいるようになって、子供じみた私になっているようだ。

タケルのせいだ。

と、私は密かに責任転嫁している。


「そっか。まあ、のんびり考えなよ。時間はあるんだし」

「うん。ありがと」

香澄は縁側に座るタケルの方に歩いていった。

「ちゃんとお留守番してた?」

「こらこら、子供扱いするなよ」

「あははは」

香澄は笑いながらタケルの横に腰掛けた。

「タケルも皆美が考えてる間はヒマでしょ。邪魔になるし散歩でも行こうか?」

「そうなんだよ。ヒマヒマ」

「そうだね。行っておいでよ」

私も笑顔で言った。

「じゃあ、行くかあ~」

タケルが妙に嬉しそうだ。

やっぱり、結構我慢していたみたいだ。

私は二人が帰ってくるまで構想を練るのに没頭することにした。



気が付くと、外は夕焼けに染まりかけていた。

結果的に、今日は構想はまとまらなかった。

心の隅に、一つ確かめたいことがあったせいだ。


決めた。

今夜、確かめてみよう。

そう思った時、道を歩いてくる二人に気付いた。

「み・な・みぃ~!ただいま~!」

タケルが大きな声で手を振っていた。

「お帰りぃ~!」

私も両手をメガホン状にして叫んだ。
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