3年後、笑顔でいてね。
すると、
「れーんっ!」
一緒にいることが多い、藤岡隆也と河島大輝が声をかけてきた。
「次移動だぞ。」
おう。と、大輝に向かって言う。
「あれ?もしかして大瀬ちゃん?」
隆也が可菜子を見つけて言う。
「あれ?藤岡くんだ!一緒なクラスだったんだね!」
隆也と可菜子の会話に花が咲く。
「え、2人って知り合い?」
「うん。1、2年と、クラス一緒だったしね。」
「大輝は?」
「俺は1年の時一緒だったよ。」
「そうだった、そうだった!なんか、懐かしいね!」
話に入れていない連が、慌てて会話に割り込もうとする。
だが、教室のドアの方から可菜子を呼ぶ声が聞こえた。
「可菜子ー!早く行こーよ!」
「あ、はーい!」
可菜子を呼んだのは須谷りずだった。
「じゃあ、また後でね。」
「うん。じゃあ。」
可菜子はりずの元へ駆け寄り、2人で並んで行ってしまった。
「つーか、俺らも行こうぜ。」
大輝の一声で、はっとなる。
「おう。行こいこ。」
美術室に向かう途中で、連は思った。
(ぎこちなかったけど、ちゃんと大瀬さんと喋ったんだよなぁ…)
可菜子の噂は、1年の時から知っていた。
合唱部の、歌が上手い上に成績も常にトップ10で、正統派な美人って。
だから、可菜子と喋れたことは、連にとってはとても貴重な事なのである。