記憶が無くなっても君が好き
見つかってよかった。っていう顔をしてる。

優しく微笑んでる感じ。

なんだろう。

不思議な感じ。

「あ、あの」

「なに?」

用もないのに、話すことなんてないのに

話しかけてしまった。

あ……名前だけでも聞いておこう…。

「名前、教えてもらってもいいですか?」

先輩は一瞬不思議そうにきょとんとした。

けど、すぐに優しい顔に戻って

「瀬川蓮(せがわれん)」

と答えてくれた。

「君はなんて名前?」

「か、花袋美麗です」

私が名乗ると先輩は何回か私の名前を小声で言う。

「よし、覚えた。俺バカだからさ、

名前とか何度も繰り返さないと覚えないんだよね」

少し恥ずかしそうに笑う。

なんだろう。

すごく可愛い。
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