僕らの夏は、紛れもない青春だった。
「せんせぇ…、エアコン買ってぇー?」



「先生にそんなお金はありません。
 そんなお金あったら
 今頃学校教員辞めて、
 家で冷たいビールでも飲んでるわ。」



「えー、」



「ってことで、
 先生は作業があるので、
 涼しい涼しい職員室に帰らなくちゃ。
 さらばっ!」 



そう言って立ち去る先生。


一応美術部顧問のくせに、

チラッと最初と帰り際に

美術室に立ち寄るだけでほぼサボり。




涼しい涼しい職員室で



優雅に珈琲でも飲むのだろう。









「くっそぉ。」



「ずりぃぞ。職員室。」






僕らの前には、


生暖かい空気を回すだけの扇風機のみ。








「「「あっちぇ…。」」」


今年も僕らの暑い夏が始まった。




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