黄金のラドゥール
なんとかコウジュンの執務室まで戻るとアユールを見た途端、緊張の糸が切れたのか、その場にぺたりと座り込んでしまった。

「膝が、、もうだめ、、」
先ほどまでの気丈さはどこかへ飛んで行ってしまった。

「ハル様!」
「まぁ、ハル様?!」

「さ、しっかり、お掴まりください。」
今度はガインの手を振りほどくことはない。

「こんなに震えていらっしゃる。
失礼します、、手先まで酷く冷たい。」

「ガイン様、ハル様はどうされたのですか?!」
「アユール、すぐ肩掛けを。」
その時になってようやく肩掛けを落としたことを思い出した。
おろおろするアユールは柔らかい布で肩を覆ってくれた。

「身体が、はは、、まだ震えてる。」

ガインは目の前の今また震え始めたハルを見つめる。
「なぜあのような無茶をされたのですか。」
「コウジュン、、大丈夫だよね?
飛び出してきたけど、コウジュンは大丈夫だよね、、??
私が無理強いしたって、
コウジュンのせいじゃないって、みんなに思ってもらえたよね?!」

居並ぶ大臣たちの前、その緊張感を思い出し頬が震える。

「なんという、、
ご自身のことは考えられなかったのですか?」
< 101 / 238 >

この作品をシェア

pagetop