黄金のラドゥール
「これからは自ら危険なことに飛び込まなくていい。
ハルを守るのは私のほうなのだから。

噂に振り回され、悪く言っていた者達には厳しく言い渡しておいた。
もう安心していい。



いいね?」
甘い微笑みには勝てなくて、
ただこくんと頷いてしまう。
ふわっと微笑みが溢れてくる。

昼間のケイジュン皇子とよく似た感じなのに、なんだろう、、
コウジュンの微笑みには胸がきゅっとなる。

とても甘く胸に染み込んでくるこの感じ。


「私とケイジュンはよく似ているが対照的だと言われる。」

「、、わかるような気がする。」

「そうか。
ケイジュンの、、微笑みが好みか?」
青い瞳が今夜はなぜか寂しげに光る。
昼間の困ったようなコウジュンの顔が重なる。
ハルはフルフルと頭を振る。

ベッドに腰掛けたコウジュンがぐっと立ち上がった。

「起こしてしまってすまなかった。

よくおやすみ。」

そしてハルに布を掛け直すと、ふわっと極上のとろけそうな微笑みと、額に優しくくちづけを落として、コウジュンはソファへ戻って行った。



ハルの方はというと、ぱっちり目が覚めてしまった。
胸の鼓動と額の熱さで眠るどころではなくなってしまったのだった。
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