黄金のラドゥール
実は皇子のそれは演技だったというのである。
忠臣たちの風紀を引き締めるため、またラドゥールを狙う輩を炙り出すための第3皇子の策だった、というのだ。

人々は口々に第3皇子と天のラドゥールを讃える。

「天からのラドゥール様も賜ったんだ、第3皇子の行く末は安泰だね。」
「我が国の将来は安泰だ、ありがたい。」

人々の中で広がりかけていた、ラドゥールは「皇子をたぶらかす悪女」という噂は姿を消し、今や「まさに聖女」という噂が駆け巡っている。
それと同時に、そんなラドゥールを賜った第3皇子への期待が高まってきている。

『なんと見事なまでの英雄物語になったものだ。』
ケイジュンは笑いを堪え、口元を引き締めた。
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