黄金のラドゥール
いつものように尼僧に変装している。
人混みに紛れ歩いていると、街のあちこちで噂が飛びかっているのが聞こえてくる。
この姿であれば、まさか誰にも自分が第5皇子だとは気づかれない。僧でもよいのだが、それだと線の細さが逆に目立ってしまう。華奢な女型のほうがしっくり似合ってしまうのだから仕方がない。

人々の反応を見て、兄の素早い対応が功を奏しているのを目にし、さすがだと思えた。
その時ふと、珍しく怒りを露わにした兄を思い出し、ケイジュンはまた笑いそうになるのをぐっと堪えた。


ーーーー、、、

ラドゥールが退席した後、
騒然となる議場で兄は、国の重鎮である大臣らが根拠のない噂に流されていることを厳しく指摘し、一喝した。その時の怒りようがすごかった。


そして全ては演技であり、ラドゥールが何者かに狙われていて、守るためにそばに置いていると明かした。
その後、ウジョー大臣を議長に残りの議題も全て確認し指示を出すとあっという間に議会を終了させた。

、、ーーーー



兄上が言っていたのはこれだったのだ。

『国民を味方につける。』
噂を逆手に取り、国民からの希望と信頼に変えてしまった。



街での様子を知らせようと、
ケイジュンは城へと急いだ。
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