黄金のラドゥール

「暖かい。ありがとう。」
彼女の吐息だったが、一瞬自分のものかとどきりとしたのは隠しておく。

「気にしなくていい。」
肩掛けの礼などを口にしている彼女はその格好の魅力を理解していないようだ。
私も男だと理解しているだろうか?
あまりに保護しすぎて、そういう危機感を抱いていないのだろうか?

ふと思った。

これがガインやユンハだったらどうだろうと思った時、じきガインが戻ることを思い出した。


「朝日が眩しくて、
コウジュンがよく見えないわ。」

なるほど、眩しさでこちらはあまり見えていないらしい。
「そのままでは肌寒いだろう、着替えておいで。」

そうだ、着替えさせよう。このままではまずい。
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