黄金のラドゥール
「あの日は友達の結婚式で、
私はその式に向かう途中だった。
でも突然目の前がパッと明るくなって、、」

コウジュンはハルをベッドの縁に腰掛けさせた。
「そうか。」

「もっと、月光を浴びたら全部思い出せるかも。」

「ああ。」

「そしたらニホンがどこにあるかもーー」

はたとハルは止まる。
「でもそうしたら、きっと私はーー

消えてしまうかもしれない?」

「そうかもしれないな。」

コウジュンはそっとハルの肩に手を置いた。
「ハル。

確かではないが、そうかもしれない。
それが帰るための方法なのかもしれない。
だから私はー、、」

「カーテンを、、」

「ああ、そうだ。こちらの勝手な都合でおまえをここに繋ぎ止めている。」

「そんな、勝手だなんて、、」

「勝手だ。
すぐに帰れるかもしれないのに。」

「でも私が今帰ったらコウジュンが、、」

「すまない。」

コウジュンはぐっとハルの頭を胸に抱き寄せた。

「もう少しでいい。
もう少しだけ、ここにいてほしい。」
コウジュンの声が切ないように聞こえる。


ハルはふるふると頭を振った。
「大丈夫、私は大丈夫。だって、たぶん帰り方がわかってるんだもん。だから、大丈夫。
コウジュンが無事に願いを叶えるまで、私は大丈夫、ここにいるから、、」

「ハル、、」
抱き締める腕に力がこもった。

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