黄金のラドゥール
ガエンザ大臣、私邸ーーー



さっと黒い影が現れた。


「スイか。」
低い声が響いた。




「はい。」

「何かわかったか。」


「動きがありました。
あちらに神官が出入りしており、
女と面会していたようです。
女の部屋は常にカーテンで覆われておりましたが、どうやら女が月の光を避けるためだったようです。
理由まではわかりませんでした。

皇子が女を片時も離さず警護しているため、拐うのは困難と思われます。室内に入れるのは側近のみで、食事や雑務に関しても身近な者で行わせています。」

「そうか、月光を避ける、、」
ガエンザはゆったり考えるように顎髭をなでつける。




「わかった。監視を続けろ。」

再び影が大きく揺れた。


「月夜に現れた女が月光を避ける、、」

『はたして、何故か、、、』

ガエンザは腰を上げ、窓辺に寄る。
漆黒の闇に細い月が浮かんでいる。

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