黄金のラドゥール
医員の報告によると、胸を突いた矢は幸いなことにわずかに急所を外れており、どうにか一命を取り留めたということだった。
皆が安堵の息をついた。
アユールは込み上げる涙をとうとう抑えきれず泣き出してしまっている。ユンハとガインは安堵しつつも再度の襲撃に備え寝室の窓から絶えず外へと目を配っている。執務室の窓辺と扉にも警備を配置した。
大きなベッドに横たわるハルは酷く小さく見えた。
コウジュンはゆるく波打つ髪に触れた。
かろうじて一命を取り留めた彼女は蒼白な顔色をしている。それでも、弱々しいけれど彼女の呼吸と温もりを確認することができ、ようやくコウジュンは大きく息を吐いた。
ほっとしたのと、、、、ーーーー、
ハルの姿を見たとき、心臓がギュッと何かに掴まれたように苦しくなった。
雷に打たれたように全身に衝撃が走った。
いつの間にか自分の中でハルの存在がそれほどにも大きくなっていたのだと思い知らされた。
「矢を射た者は捕らえたか。」
「追い詰めましたが、あと一歩のところで他からの襲撃を受け、、殺されました。」
「消されたか、、。」
「おそらく。」
ユンハとガインも頷く。
「コウジュン様、ハル様がご無事とわかればこちらのお部屋もいつ襲われるかわかりません。」
「そうだな、下にまで来たのだ、、彼女を他へ移そう。」