黄金のラドゥール
町も至る所に花々が飾り付けられ、芳しい香りでいっぱいだった。まるで春のようだった。

朝夕で寒暖差が大きいここでも季節があるのかもしれないと思った。

路面店や建物から人々が飛び出してくる。
前を行くコウジュンに頭を下げたり花を差し出したり、皆が第3皇子を讃えているようだ。


ユンハはハルを前に乗せ、大きな白馬を操っている。
ハルは気になっていたことを聞いてみた。
「コウジュンは変装とかしなくていいの?」
「変装?どうしてですか?」
「だって、皇子様でしょ?誰かに狙われたりしないの?」
「皇子の剣の腕はかなりのものです。
匹敵する相手はそうはいないと思います。」
「そうなの?」
ぱっとユンハを振り返る。
背の高いユンハはぐっと見上げなければいけなかった。
「は、い、、おっと、、!」

急に振り返ったハルに白馬が驚く。
ユンハがぐっと手綱を引いたーーー、、













花々が咲き乱れ、人々が春の喜びに溢れている。例年より多くの露店が並んでいる。

「今年は盛大だな。」
「はい、良い年になりそうです。」

「おうじさまぁ!」
子供たちから花束を受け取った。
小さな薄紫の花が優しく香った。

「次はあちらへ。」

これはハルにやろう、そう思い振り返った。




白馬が地面を蹴り、立ち上がっていた。

「きゃっ、、!」

ハルがユンハの胸にどっと倒れこんだところだった。



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