黄金のラドゥール
ハルは抱きしめられた腕の中から、ぐいっとそれを押し返し、抜け出そうともがいていた。
だが抱きしめる腕も胸も強靭でびくともしない。
いつになく抵抗する。
「ハル、どういうことだ?
なぜ急にひとりで飛び出してきた?」

ユンハとガインによると、そうらしかった。

腕を解いてもらえず、抗っても出られないとわかったのか、ハルはぴたりと抵抗をやめ、コウジュンを見上げた。
ぴたっとコウジュンの瞳を見つめてとまる。
「何か、、怒っているのか?」

ハルが眉根を寄せた。
「まだ決まってないわ。」

「何がだ?」

「まだ決まってない。」

「だから何のことかと聞いている。」

薄茶色の瞳がゆらっと揺れて、そこに映るコウジュンの姿も揺れていた。
コウジュンはガインとユンハを見たが、彼らにも皆目見当がつかないようだった。

コウジュンは抱きしめた腕を解き、そっとハルの肩を抱こうとした。

ハルの小さな手がコウジュンの胸元に触れそうに伸び、、


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