黄金のラドゥール
「帰せなくなってしまうからだ。
・・今でなければ、条件の揃った今を逃せば、
帰せなくなってしまう。」
ハルはもう一度首を振る。
「ちが、、コウジュンの気持ちを教えて。
帰したい、、?
それがあなたの、、気持、、」
ぽたぽたーー、、
大きな雫が頬を伝い落ちた。
濡れた薄茶色の瞳が大きく揺らめく。
言葉は続かず、途切れてしまった。
「、、はず、ない、、」
大きく息を吐き出すと
コウジュンは片手で顔を覆った。
天を仰いだ表情はハルからは見えない。
「、、今、なんてーー」
コウジュンは再び息を吐いた。
「はぁぁぁーーー、、」