黄金のラドゥール
純白の手袋をつけた彼がわざとらしくお辞儀をしてみせた。
「お妃さま。」

どきっとした。
ハルの心が確かにきゅっとしてドキドキと駆け足を始めたようになる。甘い微笑みがますます糖度を増す。

溢れそうな微笑みを浮かべたコウジュンはそのまま華奢な腰にするりと手を回すと、さらうように彼女を横抱きに持ち上げた。
「きゃっ!」
ドレスの裾が花のようにふんわりと広がった。
飾りがシャラリと音を立てた。
「確かあの時、ハルはー、、
踊り出そうとしていたのだったか。」
「っ、、!覚えてたの??」
微笑みがいたずらっぽく変わる。
「こんな風に。」
横抱きのまま、コウジュンはゆったりと回転して見せた。

一気に赤面して暴れるのでコウジュンは仕方なく彼女を抱えた腕を解いて降ろした。それでもまだ顔を背けようとするハルの顎を指先で捉える。唇に指先が触れる。


だが、彼女はいつかのように恐がって震えてはいない。

「私の傍にいてほしい。

どんな時も必ず私が護る。

ハル、私のラドゥール。」







「、、返事は?」


コウジュンとハルは見つめ合う。
互いの鼓動が聞こえそうなほど近く。
唇と唇が、触れそうに距離が縮まるー、、


「まぁ、、、!!」
アユールの声が響いた。
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