黄金のラドゥール


伸ばした腕は彼女を留めることができなかった。


「ハル様は、お変わりないですね。
初めてお会いした時も、今も。
思った通りに行動される。」
ガインがくすっと笑いをこぼした。

「皇子、しっかり抱きとめてくださいね。
他に取られませんように。」
コウジュンは勢いよく腕を引っ込めた。
「その言葉、前にも言っていたな。
一体誰がいるというー、、

、、この香りは?」
どこからか香りが漂ってきた。

「、、微かですが、、甘い香りがいたしますね。
ハル様のお香でしょうか?」
「ハルは香などつけていない。
、、これは、、


どこから臭う?!」

コウジュンは香りを辿る。

バルコニー側ではない、部屋で香も炊いてはいない、一目散に今ハルが飛び出していった扉へと向かう。
ノブに手をかけ、引っ張る。
一気に香りを感じた。


唸るような声でコウジュンは言い切った。
「蛇香だ、、!」

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