黄金のラドゥール

甘ったるい香りは立ち昇るように消えていく。
「く、、っそ!」
コウジュンはマントで鼻と口を覆った。
後に続いたガインも察してすぐに鼻を塞いだ。


「皇子?!」
廊下の向こう、長身に白銀の鎧が目に映った。
「ユンハ!」
口元を覆ったコウジュンを見て、ユンハが駆けてくる。ガシャガシャと鎧のぶつかる音が響く。

「皇太子に動きは?」
「何もありません!
皇子、どうされたのです?ハルさ、、
この香りは、、!」
ユンハも顔をしかめた。
「そうだ、皇太子の使う蛇香だ。」

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