黄金のラドゥール
「この儀式が終われば、皇子のお望みが叶うのですよ。」
ガインは皇子の変化を感じていた。
「望まぬ婚姻で遠方に飛ばされることもなく、
王都に留まり、
皇太子の策に翻弄されることも終わるでしょう。
ですから、今、、
儀式を止められてはなりません。」
「だがハルが、」
「ハル様は、近衛隊に儀式と並行して捜索させます。内密に。
皇子もおっしゃっていたでしょう。
ラドゥールの代理は立てられると。
背格好の似た者に頭からヴェールをかぶせ口を閉じさせればーー」
コウジュンは首を振った。
「ラドゥールの代理は叶うだろう。
だがハルの代わりにはならない。
ハルの代わりはいないのだ。」
「皇、、」
もう前を見て歩み出そうとする皇子をガインには止められそうもなかった。
「どうあっても、、」
皇子は本当に変わられた。
ガインは大きく息を吐き出した。
「ええ、、ええ。
お供いたしますよ。はぁー、、
使える主人をよく選んだものだと思いますよ、
本当に。」
コウジュンはくっと笑って見せた。
「それは友の言葉だな。聞き流そう。
ではー」
今度こそ国王の元へ、儀式の開始を遅らせるよう、ラドゥールの捜索許可を願いに。
だが、
そこへまたも、今度は腕をがっしりと引かれ
コウジュンは体ごと振り返らざるを得なくなった。
「今度は何だ?!」
「代理とはどういうことでしょう?」