黄金のラドゥール
コウジュンは黙ったままだ。
『ミムリは蛇香で全てを自白させられたと見たほうがいい。
おそらく、ラドゥールが天へ帰る方法も。
儀式の時間を遅らせたのは
皆の前でラドゥールを天へ帰すつもりか?
それでは自らラドゥールは天の娘だと認めさせることになる。
皇太子にとって得なことなど、、
まさか、、
私への当て付けだけが目的か、、?
私をかばい、私がかくまう娘。
その娘を取り上げ、
私が苦しむのを見たいと、、?
なんと、、
「兄上?」
なんと幼稚な、、 』
コウジュンはぶちっと音を立てて切れそうなこめかみを押さえた。
『今、ハルに命の危険はないはずだ。
月が上るその時までは。』
青い瞳が強く、強く燃える。
その眼差しの先で、皇太子がゆったりと微笑み来賓たちと談笑している。少し後ろでは大臣ガエンザと、表情の無いミムリが佇む。国王の側にはあの操られた侍従が控えている。