黄金のラドゥール
黄金のラドゥール

「ではそろそろ。」

すっかり陽は落ち、煌々と輝く満月に向かうようにグラスを手にした皇太子が、ガエンザに視線を送った。
広間の大きな窓からはちょうど雲が切れ
黄金色の光が降ぐように落ちてきていた。


ガエンザ大臣が手を挙げて楽隊の演奏を盛り上げにかかる。皇太子らの背にしていた分厚い垂れ幕がするすると引き上げられるとそこに白い扉が現れた。

歓声があがる。

よく見るとそれは扉にしては細すぎようにも見える。

遅れて息を飲む声や悲鳴が上がる。



「あれは、、」
ガインのひきつるような声。

コウジュンは喉を鳴らした。


目を凝らしていたケイジュンは、
はっと息を飲むと勢いよくコウジュンを振り返った。
「まさか、、!」


それは華やかに飾られてはいるが
明らかに棺だった。
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