黄金のラドゥール
「ハルーーー、、!!」
息を飲んだように静まり返った広間にコウジュンの声は一際響いた。
棺にはブーケを胸に抱えたハルの姿があった。
続く広間の声はコウジュンの耳には入らない。
もう人の波を掻き分け、彼女のそばへと向かっている。
「皇子!」
ガインがすぐ後に続く。
だがコウジュンの行く手は皇太子付きの騎士たちにより遮られてしまう。
「無礼である!その手をどけよ!」
ガインが声を張り上げ嗜めるが
「皇太子のご指示です。お席へお戻りください。」騎士たちはびくりともしない。
「そこを退け。」
怒りで声が震えるのを聴き分けたのは恐らくガインくらいだろう。
長めの髪に隠れた表情は、騎士たちからは見えない。
「できません。お戻りください。」