黄金のラドゥール
棺のハルにはガエンザが何事かつぶやいた様子だ。ハルの表情が蒼白に変わり、ブーケを落としかける。
「私のラドゥールに触れるな!」
「おお、こわい。さぁラドゥール、貴女のいらした黄金の月も見守ってくださる。
どうぞ、皇子のそばへーー」
伸ばされた白い手がハルを誘う。
ミムリがガエンザ大臣を押しのけるようにハルとの間に体を割り込ませた。
「ハル、、!」
がしゃん!とコウジュンを引き留める兵士の鎧がぶつかり高い音を響かせる。
「衛兵!何をしておる!
コウジュン皇子を解放せよ!」
「くくく、、っ、国王陛下、ご来賓の方々の前です、それでは儀式が成り立ちませぬ、、くくっ、」
リジュンは白い手をさらに伸ばし、ハルへ近づいていく。
その手が、ぐいっとハルの身体を箱の中から引き出した。
「お帰りなさい、あなたの月へ。」
皇太子の低くささやく声はハルにしか聞こえなかった。
「衛兵、、皇太子を自室へ!」
国王の声が響いた。