黄金のラドゥール
「ハル、、ハルーっ!!」
兵士を押しのけ走り出していたコウジュンが、皇太子の手からハルをもぎ取るように奪い自身のマントに包み込む。
「大丈夫、もう大丈夫だ、、」
「、、コウ、、っ」
皇太子の異様な高笑いが響く。
「国王陛下、これはどういうことですかな?!」
「祝いの場のはず、その花嫁を棺に詰め、、
また今は皇子同士が奪い合うようではありませんか!」
来賓の大きくなるざわめきに国王が応える間、コウジュンは確かに自分のそばにハルの温かみを感じていた。
「怪我は?怪我はしていないか??」
マントにすっぽり収まったハルをコウジュンはぎゅっと脇に抱えるようにして後ずさる。
『大丈夫だ、ハルはここにいる。』
薄茶の瞳がマントの間から見上げてくる。
ふと妙な感覚を覚え、コウジュンは口元をあげた。
「まるでーー」
「始めて会った日のようだな。」そう口にしそうになったのだが、
「皇子、ハル様をこちらへ。」
忠臣ガインに催促され、後の言葉は続かなかった。少々むっとしながらも、「頼む。」と応えていたのは、確かに今はそれどころではないとわかっていたからだった。
高笑いを続けるリジュン。