黄金のラドゥール
「コ、、コウジュ、、」
覆った手のひらの隙間から視線をあげる。
すると、ハルの顔を隠していた両手は、コウジュンの大きな手に掴まれ、するりと降ろされてしまう。
急にこんな至近距離で見つめられ、ハルの胸はそれだけで今にも飛び出しそうなほどなのだが、青い瞳は怪訝そうだ。
「こちらを見て。
なぜ隠す?よく似合っている。」
コウジュンには恥ずかしいから隠しているというのが伝わっていないようだ。
だがハルはこんなに間近で見つめられ、ほとんどその胸に抱きしめられるようにされているので、胸の高鳴りでそれどころではない。
間近で似合っているを念押しされ、さあ応えろと言われても、もうすでに真っ赤なハルは、両手で顔を覆ってしまいたいのに、コウジュンに掴まれた両手は用をなさず、うつむくしかできない。
耳まで赤くなったハルを見て、コウジュンは妙な気持ちになった。
喜んで応えるどころか、俯いてしまった。
赤くなってまさか褒められて気分を害しているわけではないだろうに。
コウジュンは驚いていた。