黄金のラドゥール
持ち上げられた顎の奥、声にならない驚きをのどに貼り付けて、コウジュンを見つめる。

青い瞳がすぐ間近でハルを見つめている。

息が触れそうなほどの距離。
上向かされ、彼の指先が唇に触れている、、
時間がとまったように感じられた。

ハルはぎゅっと目を閉じた。









指先が、唇からふっと離された。



ハルはほぉっと安堵の息をついていた。


瞬間、聞こえた堅い声。

「私が恐いのか?」



コウジュンは何故ハルが自分に震えるのか合点がいかないのだった。

「おまえは私のラドゥールなのだ。」

ただ、警戒する相手ではない、と言いたかった。
震えているハルを見て、自分を恐れていると思ったのだった。
これまで望まれるばかりで、拒まれることなど無かった。
恥じらっているのかと思えば、彼女は今恐れていた。

まさか正妃に決めた相手に拒まれるとは。
コウジュンには小さな衝撃だった。

「わかっているのか?」
それとも、ハルはこの国の者ではないから、今は誰に対しても警戒が強いのだろうか?
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