黄金のラドゥール
「先日の儀式の時、やはり皇太子の企みは失敗に終わっていたんだ。」

「そのようですね。お見立て通りで。
急ぎこの先の対策を練りましょう。」

「ガイン、ユンハ、
ではハルが皇太子の手の者ではないと認めるのだな?」

「そうですね、

社交界で、ハル様につながるような話は何もありませんでした。

肌や衣服が珍しいので何か噂が入ってきてもいいものですが。」
皆無で、とカイルは首を振った。


「ユンハはどうだ?」

ユンハがじっとハルを見つめる。

「今のところ、皇太子殿下とつながる証拠も無く、あちらの手の者とは思えません。


ですが、同時にその方の我が国での一切の記録もみつけられませんでしたので、一般の者とも思われません。」

「疑いは晴れたが、別の疑いを抱いているということか。」

ユンハは目を伏せた。



ーーー黒ではなく、まだグレー。
ふたりの判断はそのようらしい。

皇太子の側ではない。
ではどこか。
ニホンとはどこにあるのか。


それが確かめられないうちは最もな話だった。

< 66 / 238 >

この作品をシェア

pagetop