黄金のラドゥール
「私もハル様のことを、信じてみたくなりました。」

「何の話だ?」

「ハル様が天からのラドゥールだと言う話です。」
コウジュンはユンハを正面から捉えた。
とことん真面目なこの男が突然何を言うのかと思ったら、しかしユンハは冗談など言う性分ではない。
「聞こうか。
あまりに急な変わりようだな。
隠れて術師が居たのではなかったか?」

「複数の前で2度も、これほどの大技ができる術師の話は聞いたことがありません。
私も、皇子と同じく信じてみたくなりました。」

「では、ニホンについてはどう考える。」
「それが天にある国なのかも。」
「かも?
ユンハにしてはやけに不確かではないか?」
コウジュンは青い瞳を揺らした。
愉しんでいるようにも見える。

「皇子は疑われますか?」

「私か?
私にはハル以外の選択肢はない。」

『信じる信じないではない』そう受け取れる答えだった。

コウジュンはガインにも視線を向けた。

「私はハル様に興味がありますよ。」
即答だった。

ぴくりと眉を動かしたコウジュンにガインは先回りして否定する。
「いえいえ、そういう意味ではありませんよ。コウジュン様のラドゥール様ですから。

今、社交界は彼女の噂で持ちきりなんですよ。」
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