黄金のラドゥール
ハルの絶叫が響いた。

沐浴を終え、薄い寝間着だけで出てきた。
さぁ、寝ようかとベッドに上がりかけた時、ソファにゆったり座るコウジュンが目に入ったからだった。慌てて羽織るものを探す。




コウジュンは冷静なままだ。
「なぜそんな顔をする?
昼間伝えただろう?」

だが内心ではハルの反応を楽しんでいた。

「ここで過ごすとは聞いたけど、夜は同じ部屋じゃなくてもいいんじゃ、、」

「私の身体を気遣っていたとアユールから聞いたが、違うのか?」

「う、それはそうなんだけど、」

「万が一に備えてのことだ。同室で居ればより確実におまえを守れる。
だから安心して休むといい。」

「だからって、、っ!」
『全然安心にならないよー!』という心の叫びはコウジュンには届かないのか、コウジュンはすっかりソファに身体を預け、長い脚を伸ばしている。


もちろんそんなハルの声もその表情から丸分かりなのだが、コウジュンは敢えて何も言わない。その手を口元に当て、笑いを堪えているのをハルの方こそ知らないのだった。
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