黄金のラドゥール
ハルの顔が困ったように赤くなっている。


「そうじゃなくて、、」

確かにお互いのため、まずはコウジュンの正妃になる約束ではあるけれど、でも、まさか夜も同じ部屋でいるなんてーー、、


コウジュンは魅力的だ。
漆黒の短髪はりりしく、澄んだまっすぐな青い瞳はたまにこの上なく甘く緩む。スマートだががっしりと逞しい身体つき。この数日一緒に過ごす時間が増え、ハルは否応無しにその魅力に気づかされていた。

「剣の腕は確かだ。何が不安だ?」

それなのに、これ以上近くにいて惚れてしまわない自信がない。
ましてや夜も同じ部屋だなんて!
違う意味で緊張が止まらない。

「それとも、

本当に一緒に寝るか?」


ハルは思いきり後ずさった。
「いい、大丈夫!」
ぶんぶんぶんと大きく首を横に振る。


コウジュンはもう堪らないというように大きな笑い声をあげた。
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