黄金のラドゥール
「なるほど。
上の方と、神官長とお話しさせて戴きたいのだが。」

小坊主はユンハを見つめた。
「神官長?」

その微妙に尻上がりなつぶやきに、ユンハは少し苛立った。いくら仕えの浅い者でも自分の長の名はわかるだろうと言いたかった。だが事の次第を一刻も早く確認したいユンハは、

「神官長ミムリにお会いしたい。」
と言い切った。

しばらく間が空いて、小坊主は礼をすると踵を返そうとした。
「礼拝の準備で時間がありませんので、失礼いたします。」

「? お待ちを。神官長ミムリにお取り次ぎいただきたいのです。」
小坊主は少しだけ振り返った。
「伝えて置きます。お気をつけて。」

「いいえ、今お会いしたいのです!」

「答えは同じです。
礼拝の準備で時間がありませんので。お引取りください。」
小坊主はそのまま神殿に入っていこうとする。


「神官長ミムリにお取り次ぎ願いたい!」
静かな神殿にユンハの声が響いた。
何事かと数人が神殿から走り出してきた。
その姿は神官たちらしかった。
ユンハは少し安堵した。新参の小坊主ではなく、これでやっと話が通じる相手らに会えたと。
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