黄金のラドゥール
会議が始まった。

居並ぶ面々の中、冷静なのはコウジュンだけのようだった。

大臣たちは、同席させた初日こそ驚きの眼差しで見ていたものの、その後はハルに送られる視線は明らかに嘲りや侮蔑に満ちていた。


ハルはハルで、よくない噂も立ち始めていることを、偶然ガインとアユールの話から耳にしてしまっていたので、なるべく目立たないよう、会議が終わるまで顔を下に向けて過ごそうと思っていた。


コウジュンは咳払いした。
ハルに辛い状況を作り出してしまっている。
だが、ここは乗り切らなければならない。

ハルを守るのは自分でなければと譲らなかったのは私だ。ユンハが不在の今、騎士として有能な者、腕の立つ者はいる。だがハルにもしものことがあればそれは即自分の命に関わってくる。ハルを守るのに最適な者は自分しかいない。


『だがしかしーー』
ハルがこのような侮辱の眼差しで見られているのは許せなかった。

コウジュンは先ほどまでの冷静沈着な表情とは違い、ぞくりとするほど冷たい視線で大臣らを見渡した。



『だからあれほどよろしいのですかと申し上げたのに』とガインはこめかみを押さえた。

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