黄金のラドゥール
「で、今年の花祭りについてだがーー」




ふと、妙な静けさにハルはそっと顔を起こした。
『確かコウジュンが誰かに問いかけていたのだけど、、』
すると、こちらと目の合う大臣がいた。
その大臣は隣合った者から耳打ちされ慌てて皇子へ向き直ったようだ。しどろもどろな回答が続く。どうやらハルを見ていたらしかった。



小さく囁き合うのが聞こえる。
「まさかコウジュン皇子が」
「ここまで女を連れ込むとは」
「いや、皇子がこのような方とは」
「なるほど皇太子の噂はやはり」



ハルは堪らなくなった。

「違っ、、!」


小さな声だったが、一同が振り返ったのでハルはもう後には退けなくなった。

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