嘘つきな恋人
行きつけの店
『diningbar Dragon & Tiger』（『ダイニングバー ドラゴン アンド タイガー』）
は江ノ電の鎌倉寄りの駅の前の商店街にあって
シェフの大河（たいが）さんの美味しいイタリア料理と
オーナーの竜二（りゅうじ。通称ドラゴン）さんがつくる美味しいお酒が飲める人気のあるお店。
そして、私が勤めている総合病院の小児科病棟の看護師の3歳年上の先輩の嫁ぎ先だ。

真っ白い四角い外観はギリシャにある海沿いの建物を思い出すけど、
店内は薄いブルーの漆喰の壁にダークブラウンのフローリング。
家具は趣のあるアンティーク調のものが揃えられ、
テーブルはゆとりを持って配されているので、のんびり出来る。

ピザを焼くのに石窯を備えた広いキッチンの前には
長いカウンター席が用意されていて、
ひとりでやって来てもイケメンバーテン兼オーナーであるドラゴンが
適当に相手をしてくれるので、つい、長居をしたくなってしまう
居心地の良いお店だ。


私の指導担当だった先輩のさくらさんは出来る看護師だったけど、ドラゴンと恋に落ち、
2年前にアッサリ仕事を辞めて一緒に店に出ているけれども、
バイトの男の子も常にフロアに2人いるから、お手伝い程度で
これもカッコイイ男の子を揃えている）
さくらさんはドラゴンの側で笑っているって感じだ。
とても仲良し。ラブラブって言うんだろう。

まあ、テキパキした背の高い猫目のサッパリとした気質の美人で、
10歳年上のイケメン御曹司の旦那様を4年がかりでゲットした？らしい。
（ドラゴンの家はこの辺りの資産家で、マンションや、飲食店の店舗をいくつも持っていて、
この店をあまり採算は考えずに大河さんが好きに美味しい料理を作れる、趣味でやっている店ということだ。）


私が江ノ電を降りて、店に辿りついた時には
奥の個室でしおりちゃんが泣きながらピザを食べていたところだった。


< 2 / 138 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop