嘘つきな恋人
まだ朝早いから、剛は私のベッドで寝ているだろう。

私は電話をし、剛を起こすことにした。

「んー、美鈴?どこに行ってるんだよ。
もう朝か?」と不機嫌な声を出す。

「おはよう。外で会いたいの。出られるようになったら、連絡して。」と言って、一方的に電話を切った。

何度か着信があったが放っておき、
私は自分の部屋の前で待つ。

きっと私が怒っているのに気がついたら、
慌てて出かける用意をするだろう。

こんな風に一方的に電話を切ったりしたことはないから、

心当たりがあれば慌てて着替えて電話をしてくるだろう。


20分経って、ドアがガタンと開いて、靴を履きながら剛が部屋から出てくる。

「美鈴?!何やってるんだよ。
帰って来たなら、部屋に入ればいいだろ。」と怒った声を出すけど、
私が落ち着いた声で、

「鍵を閉めて。」とドアを指差すと、

「なんだよ」とブツブツ言いながら合鍵で鍵を閉めたところで、
鍵ごと手を掴んで、合鍵を取り上げる。

「返してもらう。」と言って鍵をバッグに放り込み、エレベーターの前に立つと、

「何言ってるんだよ!わけがわからない。返せよ。」と私の後ろに立つので、

「小児科ナースの小谷しおり知ってるわよね。」と静かな声で言うと、

「…あいつ、うちの病院のナースだったんだ…」と小さな声で言って、黙り込んだ

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