嘘つきな恋人
江ノ電の最寄駅を通り過ぎ、海沿いの24時間のファミリーレストランに入る。

剛は黙ったまま後ろをついてくる。

なんと言おうか考えているのだろうか?



別れよう?

許してくれ?

どっちも聞きたくないけど、

このままにするわけにはいかない。

剛は日勤だったはず。

後30分で結論だけ伝えよう。



私達はコーヒーを挟んで向き合い、しばし見つめ合ってから、

「…私は後輩の恋敵なんて御免だわ。別れましょう。」と静かな声で言うと、

「あいつが美鈴の後輩だなんて、看護師だったなんて知らなかったんだ。
高校の時の友達と何人かで飲んでて、
そこに来てた女の子のグループに声かけて一緒に飲んだ。
なんかあいつが俺の隣でチラチラ見るから俺に気があるんだって思って、
誘ったら、ついて来たから、そのまま寝た。
その後、連絡先を交換してもう1回会って寝た。
それだけだ。
もう会うつもりはなかったし、お終いにするつもりだった。
別に好きになったわけじゃないし、
1度や、2度寝ても、付き合ってるって言わないだろう。」

…彼女はつきあってるつもりだったよ。
都合が良いから、誤解させたままにしておいたんじゃないの?

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