嘘つきな恋人
1ヶ月前にしおりちゃんは彼氏が出来た。って嬉しそうに言ってた。
昨日、1年目のナースとキスしてたのを見た。って泣いて電話をかけて来た。
あなたと付き合ってるって、『他にもオンナがいたんです』って泣いてた。
実は剛は私とも付き合ってるのよ。とか言えないでしょ。
もう、彼女を傷つけないで。
私はもう、疲れちゃった。
あなたの部屋の鍵も返す。」
と鍵をテーブルの上に置いて、私が立ち上がろうとすると、私の手を掴んで、
「待て、美鈴、俺が愛してるのは美鈴だけだ。」と言う。
…やっぱり言ったか。
「…あなたの言う「愛してる」じゃあ、私には足りない。
誰かと分け合う「愛してる」や、
都合のいい「愛してる」は欲しくないの。
…もうこれでお終い。
2度と、会いたくない。」
と手を振り払って、我慢出来なかった涙を零しながら微笑んで見せ、店を後にした。
泣きながら部屋に帰って、
ベッドのシーツもパッドも、布団も剥がしてゴミ袋に入れ、
新しいものに変え、
バスルームを掃除してからお湯を張って湯船にゆっくり浸かった。
いくらでも涙が溢れる。
後戻りはしない。と胸に付いたキスマークに誓い、布団に入って短い眠りについた。