嘘つきな恋人
腫れぼったい目を押さえて夜勤(17時半から翌朝9時。2交代ってヤツだ。)のために夕方出勤すると、

しおりちゃんが体調を崩して、途中で、早退した。と聞いた。

早く元気になるといい。と思いながら勤務につく。


ここの病院は小児内科が専門で、
小児外科の医師はいないので、
簡単な小さな手術や、整形外科の患者が少し混ざっているくらいで
小児科病棟は内科の患者ががほとんど。
ほとんどが10日前後の短期の入退院。
長期に治療が必要な症例はほとんどが安定しているもので、
急性期の小児ガンや、特別な治療が必要な病児は
小児の専門病院へ送られていく。
NICUも8床あるけど、それも同じ。
リスクが高すぎるベビーは小児専門病院へ、生まれる前に紹介され、
ここにいるのは最初に人工呼吸器をつけても、成長と共に、外せる子供達ばかりだ。

でも、まあ、時折、緊急を要する子供達がやってくることもあり、
そんな時は必ずいるベテランが数人付いて、
周りがフォローする体制をとるので、
一気に残業が増えていくけれど、
子供達が回復していくことがほとんどのこの病棟に
4年目になった(一応、3年で独り立ちをするようになる。)看護師の私が
やりがいを感じているのは確かだ。

いつかは小児の専門病院で働いてみたい気がするけれど、
仕事中心だけの人生はどうなんだろう?
と少し、仕事に慣れてきた私は時折考える。

剛との人生をぼんやり考えていた私は、
仕事はほどほどで、彼の生活を支え、
子どもができたら、子育を楽しみたい。
と甘い夢を見ていたのだ。

馬鹿みたいだ。
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