嘘つきな恋人
気力を振り絞って、朝までの勤務を終えて更衣室で着替えていると、

ロッカーに置いたままにしておいた、スマホが点滅する。

まあ、剛からの連絡が来ることが予想されていたので、

スマホは持ち歩かなかった。

気持ちを乱されては仕事にならない。

私達の仕事にミスは許されないのだから…

いくつも、剛から話し合いたいと来ていたメッセージの中に

しおりちゃんの今夜勤務が終わったら、会いたい。とメールが来ていた。

少し迷ってから、20時にDragonで会う約束をして、

さくらさんに席の予約のメールを入れ、しおりちゃんが一緒だとつけたしておく。


ため息が出る。

しおりちゃんと会うのはいつもDragonだった。

他のところでは会うのは不自然だし、…

あの店は病院から離れているので、
ほとんど知った顔に会うこともない。
(さくらさんがいるので、年上の小児科ナースや医師が稀にいるらしいけど…)

私は知らない場所で苦しい話をするのは、今は辛かったから、

さくらさんに頼ることにする。

しおりちゃんが落ち着いていれば良いのだけれど…。

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