嘘つきな恋人
家に帰っても、あまり眠れず、

早めにDragonの扉を開けると、まだ、しおりちゃんは来ていなくてホッとする。

「今日はご迷惑をかけます。」とさくらさんとドラゴンに頭を下げると、

「ご贔屓にしてくれて、どうもありがとう。
個室じゃない方が私達が安心なので、
少し奥に普通の席を取っておいた。」

とさくらさんが少し笑って個室の前の奥まった場所に席に私を案内しながら私の頭を撫でる。

「ありがとうございます。」と言って微笑むと、

「頑張れ。」と私に笑いかけ、仕事に戻って行った。



しおりちゃんが顔を強張らせてやって来た。

その顔で私と剛が付き合っていたと知っているんだなとわかる。

どうしたら、傷つけないで済むのだろうと私は思っていたけど、

きっと無理なのかもしれない、とグレープフルーツジュースを一口飲んだ。

「しおりちゃん、いらっしゃい。」とドラゴンは微笑みかける。

「…こんばんわ。」と小さな声で言うと、

ここは店の中だと、私とふたりきりなわけじゃないと気づいたようで、

少し、表情を和らげ私の前に座った。


でも、私の落ち着いた様子に、

「…私が相談した時に心の中で、笑っていませんでしたか？」
と悲しそうな声を出して、涙を落とした。

私は首を横に振り、

「私はあの人に私以外に付き合っている人がいるなんて、知らなかった。
本当だよ。
驚いて、悲しかったけど、
しおりちゃんが言っていたことが事実なんだってしおりちゃんを見てたら、
すぐにわかった。
私はあの人とにおしまいにする。と昨日、言ったよ。」と静かな声で言う。


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