嘘つきな恋人
「後藤先生は美鈴さんを愛してるから、
私とはもう会わないって言いました。」

私は横に首を振り、

「前にもこんな事があった。
その時に、彼を許さなければ良かった。
そうすれば、私は過去の女で、
しおりちゃんをこんな風に傷つける事もなかった。
でも、こんな事を繰り返す彼を私はもう、好きじゃないの。
だから、私の事は抜きにして、
しおりちゃんは彼と話し合ってほしい。」と言うと、

「私は後藤先生が好きです。
本当に別れてくれるんですか?」と私を見つめる。

…本当はあなたもやめておいた方がいいけど…と思ってうなづくと、

「頑張って良いですか?」としおりちゃんの目から涙がポロポロ流れ出す。

「…私の許可はいらないわ。自分で決めると良い。」

と私が言っている途中で、店のドアを開けて、剛がやって来た。

「…なんで?…」と私が呟くと、

「私がここで美鈴さんに会うってメールしたんです。…やっぱり慌てて来るんですね。
…私のメールには返信もないのに…」

としおりちゃんが悲しそうな声を出した。
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