嘘つきな恋人
その3 ひとりになったら。
私は仕事に励む事にして、

日々を過ごそうとしたけれど…

私の思い通りにはいかないものらしい。


10日ほど経った夜勤の時、

今日は主任さんと気の置けない先輩たち2人と一緒になった。

年下がいないのが珍しいけど、

ゴールデンウィークの連休があるから、希望のお休みあったりしているので、

こんな事になっているんだろう。

病棟は落ち着いていて、

時間内に記録も出来そうだ。

私が電子カルテに向かっていると、

「ねえ、美鈴。最近デジャブが起こってる気がするんだけど…」

と5年目の麻紀先輩が私の顔を見る。

「そうそう。ねえ、後藤先生と別れたって本当?」

と6年目の小夜先輩が私の顔を覗く。


まあ、先輩たちはこの病棟の中なら誰と誰が付き合ってるのかだいたい知ってる。

昔の剛は上手く隠せるような器用な男じゃなかったから、

なんとなく、というか、この病棟の年上のナースはみんな

付き合う前に剛が私に何度も不器用に接触しているのを見て知っているのだ。

…しおりちゃんが知らなかったのは2歳下で、
きっと周りを見ている余裕がなかったせいだろうし…
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