嘘つきな恋人
ゴールデンウィーク開け。

日勤が終わって更衣室で着替え終わって、
何人かの同僚と職員出入り口に出ると、
剛が私を待っていた。

「待ち伏せ。」と笑う剛に呆れるが、

「ちょっとだけ、話せる?」と真面目な顔を見せるので、

今更隠してもしかたないと思って、
私は興味津々な同僚たちに手を振り、
剛と一緒に診療がとっくに終わった人影がまばらな外来のロビーに歩いて行く。

外来の受付の前にたくさん並んだ椅子に少し離れて座り、

「小谷さんにはちゃんと会って謝った。
友人の弁護士に一緒に行ってもらったんだ。
慰謝料を払うって言ったら、
ブランド物のバッグで許す。って笑ってくれた。
ふたりを傷つけて悪かった。
俺は何をしても、美鈴が付いて来てくれるって甘えてたな。」
と言って、私の顔を真剣に見て、

「美鈴、俺たちはもう、やり直せないのか?」と私の瞳を覗き込む。
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