嘘つきな恋人
「俺はこの店が気に入ったし、
そのうちにその子に会えるかなって思ってたんだけど、
4月の最初に店の中であった時も
リンは泣いてたんだよ。
自分のために泣いてたのかもしれないけど、
誰かの名前を出して大丈夫かなってため息を吐いたリンを
駅の近くで見かけた時、泣き止むまで側にいようって、
そう思った。
俺ってこれまで好きになるオンナは
自分に自信がある子ばかりで、放って置いても大丈夫だったんだけど…。
リンは違う。
でも、好きになっちゃったんだなあ。
側にいたい。
ってそう思っちゃうんだよねえ。
俺も、自分で驚きなんだけど…」

と私の顔を覗き、

「…今日も側にいて良いかな?」と耳元で囁いて、耳に唇を付けた。

私はうなずきながら、また、涙を落として、

三島さんの胸に顔を付ける。


もう、良いかな。

三島さんに甘えてしまっても…。



その優しい笑顔も

少し強引な俺様っぷりも…許せてしまうほど…

もう、自分自身にも隠せないぐらい三島さんが好きになっているし…。

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