嘘つきな恋人
順番にシャワーを浴び、身支度を整え、私が淹れたコーヒーを飲む。

いつもコーヒーは決まった店の豆を挽いてもらった物を
ペーパーフィルターで淹れている。

「うん。美味い」と祐人さんは私に微笑みかける。

「朝ごはん食べるなら、パンと、卵ぐらいで用意するけど、
後、野菜ジュースと、…ヨーグルトとグレープフルーツがあったかなあ。」と冷蔵庫を開けると、


「俺さあ、このまま出勤する訳にはいかないから、1度帰るよ。
次に泊まるときは一緒に食べる。着替えも持って来るよ。
昨日は結構無理させちゃったから、ゆっくり休んで。」

と私を抱き寄せ、甘くくちづけしてから、玄関で靴を履く。

「明日は、どっかで夕飯食べる?」と聞かれたので、

「ここで食べる?」と聞くと、

「じゃあ、リンの部屋でご飯の後、うちに移動ね。
ねえ、…ベッドって最近買い換えてシングルにしたの?」

「そうだよ。…1人になったんだし。」

「俺が玄関でずっと待ってたんだからせめてセミダブルにするだろ。」

とチョット機嫌の悪い顔を見せたけど、

「まあ、いいよ。
リンが先を見越して、フライング気味にそういう事が出来ないのは
わかってた気がしてた。…妙に生真面目。
そのうち買い換えよう。」

と少しため息を吐いて笑顔を見せて手を振って出て行った。




…もしかして、付き合うかもしれないから
ベッドをセミダブルにするなんて出来っこないでしょ。

恥ずかしすぎる。

と1人になって顔を赤くし閉まったドアを睨んでみた。

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