嘘つきな恋人
夜勤の帰りに開いたスーパーで買い物し、

無難な鳥の唐揚げとサラダとキンピラゴボウにした。
後はご飯にお味噌汁。

家で食事をするようになると、
頑張りすぎても、料理の腕前が普通なのは
すぐにバレてしまう
私は作りなれているものをメニューに選んだ。

昼寝をして、夕方起きだし、シャワー浴びてから夕飯作りをした。

夜の9時をすぎた頃に今から行くと連絡があり、
私は唐揚げをあげることにする。

学校の先生って結構いそがしいんだな。

確か1つ先の駅の海が見える学校に勤めているはずだから、
30分かからずにやってくるだろう。

私はダイニングテーブルの上を拭き、
サラダや、きんぴらごぼうを出して、唐揚げをあげる油を温めた。

15分ほどでインターフォンが鳴らされ、マンションの入り口のドアを開ける。

思ったより、ちょっと早い。

部屋のチャイムが鳴らされ、

「いらっしゃい。」と言うと、

「おかえりって言って欲しいな。」と私を抱きしめようとするので、

「今、揚げ物中です。」とクルリとキッチンにかけもどる。

「おかえりのチューはあ?」

と笑った声で言いながら、靴を脱いでいるみたいだ。

そんな事はしないでしょ。
恥ずかしいな。裕人さんは部屋に入って、鼻をヒクつかせ、
「唐揚げ?なんで好きなものがわかった?」
と機嫌の良い声を出して、キッチンに入ってくる。

唐揚げ嫌いな人っているのだろうか?
と思いながら、揚げった唐揚げをバットの上に広げる。

「美味そう。」と手を出すので、

「手を洗ってから。」と顔をしかめると、

ハイハイ。と洗面所に向かった。


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