嘘つきな恋人
「リン、痛くない?」と私の腕の内側を見る。

「大丈夫ですよ。ご飯にしましょう。
せっかくの熱い唐揚げが冷めちゃいますよ。」と言うけど、

「水ぶくれになってきちゃったなあ。
抗生剤入りのステロイドの軟膏と、保護するドレッシング材ある?」と私の顔を覗く。

「〇〇軟膏はありますけど…」と言いながら、薬箱を取りに行くけど、
ドレッシング材って医療用の皮膚の保護材だけど…
なんで、そんな事を知ってるの?

…看護師の元カノ疑惑が再び頭をよぎる。

昔のオンナの事を気にしてどうする?とちょっと思う。


「…ドレッシング材はないかな」と言うと、

「俺に部屋にはあったから後で、貼っておこう。
水ぶくれこすれて潰れると感染起こしそうだし
…跡が残ると女の子は困るでしょ。」
と軟膏をそっと塗って、私の顔を心配そうに見る。

「…火傷の治療…詳しくですね。」とニッコリすると、

「え?いや、…ヤカンのお湯で火傷した事があるからね…」と慌てたように言って、

「じゃあ、ご飯にしようか?お、良いものあった。」
と絆創膏のうえから
冷え◯タを貼り付け、患部を冷やした。

小さな火傷なのに、結構厳重。
すぐに治ると思うけど…

私だったら…冷やしておしまいにするところだ。
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