嘘つきな恋人
裕人さんの部屋に入って、荷物を置き、

一緒にシャワー浴びようという甘い誘いを断固として断り、

先にシャワーを浴びる。

もちろん、裕人さんは忘れず、私の小さな火傷に薬の付いている専用のガーゼを乗せ、ドレッシング材を貼って保護もしてくれた。

丁寧で、手際も良い。
器用な指先を、ボンヤリ見つめているうちに直ぐに処置も終わってしまった。

私が髪を乾かしている間に
裕人さんも、続いてシャワーを済ませて来ると、
すぐにベッドに運ばれ、
甘く長いくちづけをうける。


今日もするんだね。とちょっと思うけど、

明日はお互いお休みだからまあ、いいかな。


ちっとも月は見れなかった。


「リンが好き。」と囁く声に、何度も声を上げて、裕人さんにしがみつく。

今日はベッドが広いせいか、裕人さんは体位を変えながら、私を好きに扱う。

裕人さんは痩せているわりに力があって、筋肉質の身体をしている。

肩や、腕に掴まると、筋肉が盛り上がり、汗をかいているのがわかる。

私は裕人さんが満足して動きを止めるまで、

翻弄され、意識を飛ばしそうになりながら、裕人さんを自分からも求めた。


裕人さんは激しく動きながら突然うめき、私の腰を強く惹きつけ、動きを止める。

私の内側はギュウっと締まっていっていて痛いぐらいだ。息が苦しい。

裕人さんも私の身体の上に覆いかぶさって、苦しそうな息を吐く。

「美鈴、すごくいい。」と私のひたいの髪をかきあげ何度もくちづけする。

私の身体は溶けたように力が入らなくてそのまま、眠りにつく。

裕人さんは私を固く抱きしめ、

「愛してるよ。美鈴。」と言ったのが聞こえた気がした。
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