嘘つきな恋人
「秘密の部屋なんて大袈裟だな。
高校の生徒さんの個人情報が置いてあるから、鍵をかけてあるらしいんだけど…」

「いや、きっと見せられないものがあるに違いない。
エッチな本とか、アイドルの写真集とか?…」とドラゴンは楽しそうな声を出す。

「子ども。」とさくらさんが笑う。

「じゃあ、手錠とかロウソクとか…」

「変態。」とさくらさんはドラゴンの手をつねる。

「イタタ。でも、学校の資料だけじゃあなさそうだろ?」と少し真面目な顔をする。

…やっぱりそう思うよね。

「隠し事かあ。三島さんは美鈴にぞっこんなんだと思うけどなあ。
好きでも言えないことって何かなあ?」とさくらさんも考えている。

「気にしなくってもいいと思う?」

「馬鹿だな。気付いたんなら、気になるだろ?
あのアホの最初の浮気だって…そうだった…じゃないか?」

と言いながらなぜかドラゴンの声が小さく、途切れがちになって考え込んだ。

え?ナニ?

浮気?

イヤ、ナイですよね。

私が浮気で傷ついているのを見ているんだから…

私が唖然とした顔をすると

「イヤ、ナイでしょ!」とさくらさんが言い切って私の顔をニッコリ見る。

「美鈴。きちんと聞いたら?連絡が取れなくなるのはなんでかって。」

「それって…束縛強くない?かな?」と私は上の空で返事をする。

…浮気。

…他のオンナノヒト。

どうしよう

考えていなかったから

思いつかなかったけど…

連絡が取れない時間。他の女の人といたのだろうか?

月に2、3度会う他の女の人…?

部屋には彼女のモノがあるとか…?


絶対違う。と言う心の声と、

もしかしたら…という醜い嫉妬が急に湧き上がって来る。
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