【完】こちら王宮学園ロイヤル部
・悪魔のリスタートキス
◆
「あしたから、なつやすみだねぇ」
腕に、ぎゅうっと絡んでくるのはいつものごとくルア。
「そうね」と返事しながら、今日もやわらかい髪を撫でた。普段はC棟から出ない面々だけれど、さすがに学校行事の式に出ないわけにはいかない。
というわけで、いまからドームで終業式だ。
普通ならクラスごとの編成なのだけれど、一応生徒会と同じ扱いのため、どうやらロイヤル部は全員揃って一緒にいていいらしい。
「そういえば……
わたし、ドームに入るのはじめてだわ」
「普段は芸能科しか使わねーからな。
それよりルノ、あの話どーなったんだよ」
「ああ、もちろん大丈夫ですよ。
うちなら、椛先輩の家とも近いですからね」
……なんの話?と、莉央とルノを振り返る。
どうやらわたし以外のみんなはその話の内容を知っているようで、ルアは「たのしみだね」って笑ってるけど。
「夏休み、八王子家で集まって遊ぼうって話になってるのよ。
家も近いし顔見知りだから、椛も兄妹連れてこれるでしょう?」
「ああ、なるほど……」
「もちろん南々瀬ちゃんもメンバーに入ってるからね」
「え、わたしもですか?」
「当たり前じゃない。
なんで夏休みに男連中と集まらなきゃいけないのよ」
ただでさえ寮にいたら顔をあわせるのに、とため息をついている夕帆先輩。
どうやらわたしもふくめて夏休み一緒に遊ぶらしい。ルア曰く「プールも、あるよ?」とのことなので、絶対に豪邸だ。
もともとルアが部屋から出てこないから実家に帰省する予定は、なかったものの。
ルアが出られるなら集まる場所を作ろう、ということで、ルノがわざわざ八王子邸を提供してくれるらしかった。